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草深原の狐  

草深原の狐


広い広いあの草深原(そうふけっぱら)が
まだいちめん雑木林で覆われていたころの話。
 
吉田というところに一軒の菓子屋がありました。
その菓子屋のおやじは3日おきに天秤棒で菓子箱をかついで
ぎっちら、おっちら あの広い広い草深原を横切って
木下(きおろし)というところまで菓子を仕入れに通っていました。

ところで吉田から草深原へちょっと入ったところに元屋しきどんという
一軒の農家があってそこには「カメ」という一匹の子犬がいました。

菓子屋のおやじは犬が大嫌いでした。
けれどもどうしてもそこを通らないと木下へは出られません。
そこでおやじはそこを通るたびに必ず菓子かせんべいをカメにやって
ほえられないように手なづけました。

カメはいつの間にか親父の通る時間を覚えてしまい、
ちゃんと門先で待つようになりました。

雑木林の木の葉も黄色に色づき すすきの穂も狐のおっぱいみたいに
白くなり始めた秋の日のうっすら肌寒い日でした。

例によって親父は木下から菓子を仕入れて帰ってきました。
宗甫(そうほ)を過ぎていよいよ草深原に入るころ 
お天道様はまだ4ひろも5ひろもの高さにありました。

ふと前のほうを見て親父は驚きました。
カメの奴がちょこんと道の真ん中に座って親父を待っているではありませんか。
不思議に思いましたがいつものように菓子をやって
「カメが。よしよし こごまで迎えに来てくったが」
と喜びました。

カメは菓子をくわえるとやおら立ってすたすた歩き出しました。
おやじも菓子箱を担いで威勢よく歩き出しました。
「カメまてカメまて」の掛け声でカメのあとについていきます。

カメは10メートル先20メートル先とちょいちょい振りかえっては
しっぽを振ってこいこいやっています。
おやじも喜んで「カメまてカメまて」を繰り返しながら
一生懸命天秤のきしむ音に合わせて走りました。

いつしか日が暮れてあたりはすずめ色になってきました。
とっくに草深原を出なければならないころなのに
まだ林の中をおやじは走り続けていました。

とうとう夜になりました。
カメは依然として先に立ってこいこいをやっています。
「カメまてカメまて」の声もかすれてすっかりくたびれてしまったころ
先のほうに灯りを見つけました。
くたくたに疲れた体にむち打ってようやく人家にたどりつきました。

そこは伊兵エどんのいえでした。
庭先に菓子箱をおろしたとたん
カメの姿はふっとふきけすように消えてしまいました。

家の人を起こし道を聞きました。
伊兵エどんが見ると顔見知りの菓子屋です。
晩秋の朝明け前ははだ寒い。
「カメまてカメまて」で走り続け汗だくの体も休むと一層寒くなります。
ガチガチ歯を鳴らして震えるおやじを家の中に入れ、
火をたいてあたためてやりました。
ところが、おやじにはなんとも気がかりなことがもちあがりました。
伊兵エどんの顔が妙に細長くまるで狐の顔です。
出てきたおかみさんの顔もやっぱり長く狐そっくり。
何べん見直してもやっぱり細長く狐の顔です。
「やあ~ まえったまえった。こらあ狐の宿さ来ちゃったがな」
とおやじは思いました。

しょんべんをするふりをして外に出てひさしの柱をなでてみました。
丸い。中に入って家の柱をなでてみました。四角です。
2度3度繰り返してっましたが、やっぱり同じです。
「確かに人の家だけどなあ」
とてもではありませんがお茶はごちそうになれません。

やがてあたりがだんだん明るくなってきました。
すると伊兵エどん夫婦の顔もだんだん短くなってきました。
夜がすっかり明けると伊兵エどん夫婦の顔は普通の人の顔に戻ってきました。

ようやく安心してお茶をごちそうになって
おやじはゆうべまでのことを話しました。
伊兵エどんは笑いながら
「いやあ そらひでえ目にあったもんだなあ。
この辺にゃ悪がしけ狐がすんでっから草深原通る人はよぐだまされんだわ」
そういって家まで送ってやろうかと言ってくれましたが、
「もうだまされんめ(だまされまい)」
笑いながらことわり家族の心配しているわが家へと帰っていきました。




 参考;印西町民話集『光堂(ひかりどう)の竜』








おなじみ印西牧の原駅。
DSCN0979.jpg

DSCN0978.jpg

印西牧の原の駅を出てBIGHOP側に行くとすぐに
こちらの案内図が目に入ります。

DSCN0981.jpg


PVにも見切れたと言っていいのかっていうくらいな見切れ方をしてました。
(むしろ映ってるとは思ってなかった)
michi040.jpg 『美ちなる方へ

右端の木のさらに右に一瞬看板の左側がちらり(笑
この大きさじゃ全くわからないよね



かつては狐や狸が出て人を化かしたというお話が数多く残るこの地。
なかでも有名なのがこの『草深原の狐』のお話。
先の民話集にも掲載されているほか、絵本にもなっています。


こちらの案内板もそういった土地の歴史を踏まえたデザインとなっているのでしょう。
案内板の下方に記されているのがこの『草深原の狐』のお話のあらすじです。

マンションが立ち並び閑静な住宅が広がる新しい街(ニュータウン)。
ときには立ち止まってかつての姿に思いを馳せてみるのもいいですね。



(注)
 おはなしとしての完成度は正直あれかなと個人的には思ったりもするのですが、
 (長々書いておいて何ですが)
 何箇所か細かい描写に気に入ったものがあったりして、結局全文起こしました。
 『光堂の竜』では語り部の口調そのままに地元の言葉で書かれていますが、
 読みやすさを考え、会話文以外は標準語にしてみました。

 






12/05/27追記。

おっさんの夢』(神聖かまってちゃん)

おっさん202

PVのこちらのシーンに「草深原の狐」が。

スポットライトに関してはこちら → 『草深原の狐のスポットライト
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Posted on 2011/12/08 Thu. 19:55 [edit]

category: local area

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コメント

Re: 関東平野だな〜〜

かいくんさん>

こんばんは。いつもコメントありがとうございます。

私の故郷は関東平野でも山地に近いところで
ほぼ全方向を山並みに囲まれたような場所だったので、
どこまでもどこまでも続くあのひょうたん山からの眺めを
初めて見たときはなんとも不思議な感じがしました。
そしてこのお話を書きながら、そのときの景色と
「いちめんの雑木林」広がるかつての姿とを
重ね合わせようとしたのですが、やはりうまくいきませんでした。

昔の人は、自分たちの理解を超えた現象を狐狸妖怪の類の
せいにしてしまうことで自分たちの社会の安定化を
図っていたのでしょうね。各地に残る民話や妖怪の話は、
土地の歴史や文化を知るのに恰好な材料だったりして、
そういう意味でも興味深いです。

確かに、賢い動物に対する恐れみたいなものもありそうですね。
狐、本物はかわいらしいですもんね。

四国には狐っていないんですか(無知)。
犬神。私は『しゃばけ』を思い出しました。やはり妖怪もの・・
(好きなんです、妖怪もの。京極夏彦とか畠中恵とか)
横溝正史での子さんのスケキヨが頭に浮かんだのは
言うまでもないですがwww

URL | ゆるん #-
2011/12/11 20:15 | edit

関東平野だな〜〜

ほんとうにただっ広いこの土地は昔はどんな姿だったのでしょうか。
四国の山奥育ちなので全く想像もつきません。
狐って可愛いのになんで化かされるって思ったのか、烏もそうですが頭のいい動物ってちょっと怖いんでしょうね。
広い草っぱらを狐がぴょ〜んと跳んでるのを想像してみました。
ちなみに四国には狐が居ませんから、弁天橋と言う橋のたもとの祠には犬神が祀られていました。(もう横溝正史的〜www)

URL | かいくん #-
2011/12/11 16:16 | edit

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